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灘区在住日記

街をぶらぶらしながら神戸(特に灘区)の歴史を勉強中。

神戸港から海を渡った「ブラジル移民」と「蒼氓」(石川達三)

神戸港からブラジル移民となって海を渡った人々を書いた小説「蒼氓」。本屋で探しても見つからず、「ネットで買うか…」と思っていたら、口笛文庫という近所の古書店で発見。

 

 

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ものすごく年季が入ってます(昭和49年 36刷)。

 

 

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時代を感じるお値段です。

 

 

この小説は、作者自身も移民施設で生活し、らぷらた丸に移民団の助監督として乗船、ブラジルでの生活、そして、帰国。その時の様子、見聞きしたことがベースになっているそうです。

 

 

「蒼氓」は人々がブラジル移住を決意し、国立海外移民収容所での生活、そして神戸港からブラジル出港するまでの様子が描かれています。様々な事情を抱えた人々が集まり、そして、そこには様々なドラマがあります。

 

 

移住者にとって、ブラジル移住は希望に満ちている半面、家族、友人、そして故郷から離れてしまう寂しさ、不安もあったと思います。

 

 

ただ、この小説には私が想像していたような悲壮感が(あまり)漂っていません。どちらかというと淡々と書かれていますが、80年以上の小説とは思えないほど面白く、一気に読みました。

 

 

ちなみに、「蒼氓」は1935年(昭和10年)、第1回芥川賞を受賞しています。1937年(昭和12年)には映画化されましたが、現存していなようです。

 

 

さて、小説の冒頭、

 

 

「1930年3月8日。神戸港は雨である。細々とけぶる春雨である。海は灰色に霞み、街も朝から夕暮れのように暗い。三ノ宮駅から山の手に向かう赤土の坂道はどろどろのぬかるみである。…」

 

 

という一節があります。この「三ノ宮駅」は今の「元町駅」のことを指していて、三ノ宮駅が今の場所に移った後、元町駅と呼ばれるようになったそうです。

 

 

そして、移民収容所生活最後の日、皆がぞろぞろ神戸港まで歩く道、それがが鯉川筋

 

 

立海外移民収容所(海外移住と文化の交流センター)、三ノ宮駅(元町駅)、神戸港と神戸市のHPで見つけたサイト「ふぉと あ・ら・かると」(マップで見る「ブラジル移住の歴史」)を参考に歩いて来ました。

 

 

 

(マップ内の説明は「ふぉと あ・ら・かると」マップで見る「ブラジル移住の歴史」、「北野を物語る建築たち」から抜粋)

 

 

まずは、トア・ホテル跡。隣接する全てが華やかなこのホテルと国立移民収容所との対比によって、より移住者の生活困難な様子が浮かび上がります。地図で見ると国立海外移民収容所(以下、海外移住と文化の交流センター)から遠く感じますが、すぐ近くです。今は神戸外国倶楽部になっていてす。ゲートは開いていましたが、勝手に入っていく雰囲気ではなかったので、外からチラ見して終わり。

 

 

そして、海外移住と文化の交流センターへ。中に入ると、お客さんは私一人???ラッキーなことに職員の方が1時間ほど解説をしてくれました。館内は船の生活に慣れてもらうために、船内のような造りになっており、建物自体も船のような形をしています。

 

 

ここでは、職員の方のお陰で、小説や本で得られない情報、知識を得ることができました。本当にありがとうございました。

 

 

センターを出て、今度は鯉川筋を降りて元町交番まで。ブラジル移民者がいたころから数十年経っているので、街並みも全く違うと思います。しかし、ここを数百人の人々が港に向かって歩いて行ったんだな…と想像しながら歩きました。

 

 

そして、元町駅交番。いつも見ていますが、それがブラジル風であるとか、屋根にステンドグラスがはまっているとか知りませんでしたね…。モニュメントもありましたが、人が多いのと、垣根に囲まれていて中の文字は読めませんでした。残念。

 

 

鯉川筋でイペの木(ブラジルの国花)の説明を書いた看板を見つけました。鯉川筋にあるイペの木は、2008年「ブラジル移住100周年」を記念して植樹されたそうです

 

 

そこから、港の方に降りて(海外移住と文化の交流センターから徒歩30分ほど)、神戸港移民乗船記念碑へ。メリケンパークの南端という情報だけでしたが、無事に到着しました。

 

 

海外移住と文化の交流センターで観たビデオで移民の方が語っていましたが、「日本で最後の風景は六甲山です」と。確かに、ここから出港された方の日本最後の土地は神戸であり、最後の風景は六甲山。何だか感傷的になります。

 

 

この日はうす曇りだと思っていたら、午後から強い風が吹き、ようやく春になったと思ったのに、寒い日でした。でも、そんな最悪な日にセンターを見学したおかげで解説までして頂いたし良かったと思います。

 

 

海外移住と文化の交流センターの方に、「今度は友達を連れて来て下さいね」と言われました。ぜひ、また行きたいと思います!

 

 

この後、ブラジルと言えばコーヒー。明治時代初期、神戸で日本初のコーヒー店を開いたとされる「放香堂(ほうこうどう)」に喫茶店が出来たと知り、行ってみようと思ってましたが、あまりの寒さに断念。また今度行くことにします。

 

神戸新聞NEXT|社会|日本の珈琲、原点の味再現 石臼で豆ひき 神戸の「放香堂」

 

 

参考図書:神戸移住センターから見た日本とブラジル